03_野嶋卓真 失踪調査報告書(第三段階)

※転記内容は原文に基づくものであり、誤記・誤変換・符号の欠損等を含みます。
※原本PDFの閲覧は現在確認できていません。

案件番号:KEK-2023-1005

案件名:野嶋卓真氏 失踪調査報告(第三段階)
作成者:江草 慎二
作成日:2023年12月24日

■ 目的と概要

本報告書は、都市伝説ライター・野嶋卓真氏の失踪に関する調査活動の一環として、当初調査を担当していた記録調査員・酒井湊によって進められていた現地踏査の途中経過および記録のうち、酒井湊の失踪をもって中断された内容を取りまとめたものである。

記録調査員・酒井湊は2023年12月3日を最後に消息を絶ち、以降の追加調査は会社上層部の判断により打ち切りとされた。

筆者・江草は資料班として、酒井が遺した記録のうち物理的に回収可能であった媒体の整理・保存・記録化を担当し、本報告書をもって記録内容の引き継ぎを完了する。

今後、本件に関する新たな調査は行わない。ただし、関係資料の収集・整理・保管は継続し、資料班の裁量にて関連案件との接続可能性を精査する。

第三段階における調査は、既存の証言・映像・行動記録の直接的な分析を越え、記録担当者本人の記録行動自体を対象とした間接的検証へと主軸を移行している。また、本段階における筆者は記述および解析にとどまり、音響・映像再生による観測的干渉は行っていない。

本報告書をもって、江草による記録記述は終了とし、以降は整理責任者としての立場に専従する。

※注意事項 本資料には、時間の逆行的記述、音声由来の文字列化、非言語構造への変換記録が含まれています。 精神的安定を損なうおそれがあるため、連続読解は推奨されません。 第三者に閲覧させる際は、記録範囲の制限をかけてください(詳細な閲覧履歴は自動記録されます)。

【付録資料A】:音声データ書き起こし
ファイル名:log_1021_recording01.m4a
デバイス:iPhone SE(第2世代)
回収経路:酒井湊の自宅書斎机引き出しより発見/再生日:2023年12月3日
記録時間:20分52秒(抜粋・編集なし)

《再生開始》

……記録を開始する。
高架下には、本日も変化は確認されなかった。人の気配はない。女の姿もなし。
ただし……“いた”。
それだけは、記録しておく。

※マイクに擦れる音。足音、ペンの音。水音のような、反響した低周波ノイズ(0:51〜1:04)あり。

……記録機器に、意図しない音声の混入がある。
耳奥に残るような、低い圧……ひりつく。
私は酒精の摂取を行っていない。
にも関わらず……ジンの匂いがする。
白檀ではない。これは……Ashの匂いだ。血と線香、それから……土。

※短い間。

……はぁ……
いや、今日こそ、まとめよう。
高架下、また行った。
もう誰もいない。女もいない。けど、いる。いた。

※マイクに擦れる音。足音、ペンの音。
水音のような、反響した低周波のノイズ(0:51〜1:04)あり。

なんで……音が入るんだこれ。
目の奥が、ひりつく感じ。ジン……飲んでないはず。
あの匂い、またした。白檀じゃない。あれは……Ashの匂い。血と線香と、あと土?
……なんで記録になってない。メモが、消える。

※椅子を引く音。舌打ち。

Ash、って……私が言ったの? ううん、違う。
私は、観測していただけで……
…………
“あんたが、代わりか”って、言われたんだよ。あの女に。
そのときは否定できた。でも……今日、また言われた。

“代わりの方が喋るのうまいね”って。

※約4秒間の無音。耳障りなマイクノイズが急増(5:49)

Ash。
Ash、今いる?
(囁くような声で)……ここにいるなら、音だけでも返してくれ。
(さらに小声で)前のやつみたいにはならない、私は、渡す。私の名前も、声も、手も、渡す。

※ここで“キィィ”という超音波に近いノイズが走る(6:12)。粘度の高い水音が断続的に入る。解析不能。

……手、切れた。左。
痛くない。……この棘、野嶋が言ってたやつか。3本ある。黒、白……赤?
綺麗だな。こんなに整った棘って、あるんだな。

Ash、お前、
……笑ってるのか?

※ここで約6分間、音声がループするような異常。
“心臓” “さしだせ” “さしだせ” “Ash” “おまえは音” “意味を問うな”という断片が繰り返し聞こえる。

……私、録ってたのかな。これ、録音、止めた?

Ash、Ash、Ash、
ああ……
ああ……
(小さく)
ありがとう。

《再生終了》

※データファイルには明確な録音終了操作の痕跡がなく、音声が自動で停止した理由は不明。
※同端末は以降ロック解除不能状態にあり、バックアップなし。音声ファイルのみ復旧。

【付録資料B】:同一引き出しより回収された手書き原稿

Ashの語彙は人間の言語と部分的に重なるが、その意味を“問う”行為は強く忌避されるようだ。
語の意味を尋ねた記録は複数あるが、いずれも応答が途切れる、または音声が歪む結果に終わっている。

ただし、“自分の見解”や“仮説”として語った場合に限り、まれに応答のような反響が記録された痕跡がある。
このことから、Ashは“意味”そのものではなく、“意味へ向かう意志”に反応している可能性がある。

※筆跡・筆記具から見て酒井湊本人の手によるものと断定。紙片は音声データと同じ机の最奥部から発見された。

【追加資料①】
調査員 酒井湊 行動変調に関する観察メモ(江草 慎二 記録)

記録調査員・酒井湊の行動変調について、以下に筆者が確認した事項を整理する。解釈、及び因果関係の付与は、本記録においては行わない。

  • 2023年11月初旬、第三回目現地踏査以降、記録媒体内のメモ記述が対話調に変化。
  • 同時期、音声記録の頻度が増大。ただし、内容の大半は無音、あるいは聞き取り不能な独白に近いもの。
  • 「高架下」という表記が、物理的地点から、固有の主体または指示語に近い使用へと変化。
  • 月曜夜に事務所に滞在する頻度が増加。ただし、失踪直前週はこれを行っていない。理由不明。
  • 対話時、返答までの反応時間が遅延。また、視線が対面相手に向かない傾向が強まる。
  • 「Ash」という語句を頻用。ただし、筆者が意味を確認した際には回答を拒否。

以上、当該行動変調は記録担当者自身の記録媒体にも断片的に残存しているが、現時点での評価および分析は実施していない。
筆者は記録調査員・酒井湊と同期入職である。業務上の接触および限定的な交流は存在したが、これらは本件の記録価値に影響を与えるものではないため、詳細な記載は行わない。本記録は解釈を排し、観測された形式のみをもって価値とする。

【追加資料②】
資料閲覧時における筆者への影響記録(江草 慎二 記録)

■ 概要

本資料は、調査員・酒井湊が遺した未整理データ群(以下、Ash関連一次資料)の整理作業中に、筆者(江草 慎二)に発生した一時的変調について記録するものである。当該現象は、記録担当者・酒井湊が失踪以前に示していた行動変調との類似が認められるが、本報告書では比較・評価は実施しない。

■ 経緯

  • 2023年12月5日、都市怪談調査協会資料班作業室内。
  • Ash関連音声ログ、断片的手書き資料の整理作業中(物理確認、テキスト抽出のみ/再生・解釈行為は不実施)。

■ 発生事象

【第1事象】

  • 発生日:2023年12月6日(作業引き継ぎ当日・夜間)
  • 状況:資料班作業室内、調査記録整理作業中。
  • 事象:作業中に意図しない入眠状態に移行。夢内において、男性と思しき存在より「お前も?」との問いかけが反復された。筆者は「違う」と応答。即座に目覚め、身体的異常は確認されず。

【第2事象】

  • 発生日:2023年12月7日(翌日・午後)
  • 状況:作業班作業室内、同様作業中に再度入眠。
  • 事象:同様の夢内構造。今回は「どうして?」との問いかけが反復され、筆者は「関わりたくない」と返答。その後、「本当に?」との問いがあり、直後に覚醒。冷静さを取り戻すため、机上に置いていたマグカップのコーヒーを口に含んだところ、即座に強いアルコール臭を感知し吐出。その後、液体を調査班内にて成分分析を実施。結果、ウォッカ(37.5度相当)と同定。なお、同液体は経時的変質・蒸発を示さず、現状維持状態で保存中。マグカップおよび内容物は関連資料として封印管理。

■ 注記

  • 本件は資料班作業中に限定された事象であり、第三者への伝播は確認していない。
  • 上記変調は記録調査員・酒井湊が第三回踏査以降示した記録行動(夢中記述、数詞列の出現等)との一致が散見されるが、本報告書では検証・評価を行わない。

筆者はこれ以上の影響記録を行わず、当該資料群の封印措置のみを実施する。

【関連資料】

■ 資料名:マグカップ(猫柄)および内容物

  • 発見場所:株式会社 環境構成影響研究所資料班作業室内(江草慎二 机上)(江草慎二 机上)
  • 状態:陶器製マグカップ(背景色:黄色/猫キャラクター多数印刷/吹き出し付きデザイン)
  • 内容物:無色透明液体(分析結果:エタノール濃度37.5%)
  • 特徴:内容物は経時的変質・蒸発を示さず、物理的変化なし。
  • 管理状況:封印資料として資料班内隔離管理。
  • 付属資料:外観撮影データ(資料班管理番号:IMG-MKC2023-11)
  • 備考:内容物の由来および変質経緯は不明。液体は当該事象発生日(2023年12月7日)以降、減少なし。

【追加資料③】:関係者ヒアリング記録(江草 慎二 記録)

■インタビューA
【証言者】:調査班員(千田圭)
【日時】:2023年12月8日【場所】:環境構成影響研究所会議室B

酒井湊の調査姿勢について確認。調査班Aは「初動は早いが、途中から話が脱線しがち。だが、そういう話の広げ方が意外と関係者の警戒を解く」と証言。

具体例として、失踪案件に関するヒアリング中、酒井湊が「このへん猫多いっすよね〜」と関係ない話題を出し、そこから相手が「そうそう、でも最近変な犬もいて」などの情報を引き出した事例を挙げた。

また、調査班Aは「正直、うざい。なんでも首突っ込むし、こっちのペースを無視することも多い。でも、だからこそ、誰かが言いづらいことを言わせてくれる奴だった」と付言。

さらに、酒井湊の行動変化について、調査班Aは「もともと突然いなくなるような奴じゃなかった」と証言。「Ash案件に関わるようになってから、言動に異常が出始めた。こっちが話しかけても、反応がズレるようになった」との証言が得られた。
以下、重要部分のみ書き起こし

「湊ちゃんっすか?
いや〜、初動はガチで早いっすよ。現場とか、“え、そこ行く!?”ってくらい突っ込んでくし。
ただ、まぁ……なんすかね、そこからの“寄り道トーク”多すぎて、こっちは内心“はよ帰ろ”って思ってましたけど。」

「でもまぁ、その“どうでもいい話”が、案外相手の警戒解いたりするんすよね。
前もあったんすよ、ヒアリングしてて、急に『この辺、猫多くないっすか?』とか言い出して。
俺、“また始まったよ”って思ってたら、相手が『でも最近、変な犬もいてさ〜』って勝手に喋り出して。
あれ、湊ちゃんにしかできないっす。俺だったら絶対怒られるやつ。」

「正直、ウザいとこは多かったっすよ。
なんでも首突っ込むし、空気とか読まないし、俺の“帰りたいオーラ”とか秒で無視するし。
でも……なんすかね、“こっちが言えないこと、代わりに言ってくれるやつ”って感じっす。」

「で、今回の件っすよね?
いやいや、あの子、突然いなくなるようなタイプじゃないっすよ。絶対。
遅れても“LINEは返す子”だったし、どんだけトチっても“ゴメン”って言ってたし。」

「ただ……Ash案件っすか。
あれ入ってから、ちょっと変でしたね。反応がズレるっていうか、“聞こえてない”みたいな時があった。
俺が“帰りたいんすけど〜”って言っても、『あ、そうっすね〜……』って、
“今どこにいた?”みたいな返事返ってくること増えてて……。」

筆者注:当該証言における調査員・酒井湊の性格的傾向、および行動変化に関する証言は、関係者複数から同様の指摘があり、事象発生以前には失踪を示唆する兆候は確認されていなかったこと、ならびにAsh関連案件以降、言動に変調が見られるとの証言が一致しているため、記録の一部として残す。

■インタビューB
【証言者】:調査班班長(桐野 隆司)
【日時】:2023年12月9日【場所】:環境構成影響研究所事務局会議室

酒井湊の失踪後の処理経緯について確認。証言者は「自宅(社宅)は、協会管理の物件だったから、内部の確認はこっちでやった」と証言。

酒井湊の家族については「もともと家族は全部亡くなってる。戸籍上、身寄りはない」と回答。証言者は「一応親類縁者も調べたが、死亡確認済み。だから、法律的な問題はない。協会管理の名義で処理してる」と付言。

室内状況について、証言者は「ほとんど仕事関係の資料ばかり。生活感は薄かった」と述べた。また、「床にはジンの空き瓶がいくつも転がってた。銘柄は全部ギルビージン。同じのばっかりだった」と証言。

加えて、「妙にでかい姿見があってな。指紋だらけで、酒井湊の指紋以外は確認できなかった」と証言。姿見については「まるで自分をずっと見てたみたいだった」と述べたが、これについては個人的印象に留まる。

以下、重要部分のみ書き起こし。

「……鍵は構影の名義だったんで、確認はこっちでやった。
部屋には俺が入った。誰かに任せるような話でもないし。」

「家族はいない。戸籍も確認済み。親類縁者も一応あたったが、全員死亡届出済み。
法律上の処理は問題なかった。名義も協会側に戻した。」

「部屋の中は……まあ、仕事の資料ばっかだったな。
服とか生活のもんもあるにはあったが、生活感は薄かった。
冷蔵庫の中も、飲みかけの水と……あとはギルビージン。
空き瓶が床に何本も転がってた。銘柄は全部同じ。…普段酒井はこんな酒飲まなかったよ。」

「妙にでかい姿見があった。やたら重くて、移動はできなかった。
指紋を見たが、酒井のものだけだった。誰かが来た形跡はない。
……なんつうか、“ずっと自分を見てた”感じの鏡だったな。
映るもんじゃなくて、“見てくる”側の感覚があった。
まあ、個人の印象だ。記録としてはどうとでも書ける。」

「……いなくなる前、酒井とは何度か会話してた。
普通だった、とは言い切れないが、
“ある程度おかしくても戻ってくるやつ”だったからな。
今みたいな状況になるとは思ってなかった。」

筆者注:当該発言は、失踪後の管理経緯および室内状況の確認として記録する。部屋内の物品配置、および確認された異常点は、調査班内ログにも記録済み。

■インタビューC
【証言者】隣室住民(協会社宅同居者/氏名伏せ)
【日時】:2023年12月10日【場所】:協会会議室C

酒井湊の失踪前の生活状況について、隣室住民より以下の証言が得られた。

証言者は「いい人でしたよ。元気に挨拶してくれるし。でも、昔から偶に深夜徘徊してたな」と証言。

その理由については「うちの社宅、壁が薄いんですよ。玄関ドアの開閉音、全部聞こえるんです。だからわかった」と述べた。

証言者は「まぁ、うちの会社ってそういう会社だし、変だとは思わなかったですね」と付言。

酒井湊の交友関係については「友達とかは…昔から訪ねてこなかった」と証言。

失踪直前の状況については「毎日深夜に出かけてました」と証言。

証言者は「酒井湊と直接顔を合わせたのは、ゴミ捨て場くらいだった。瓶の日(2週間に1回)にばったり会った時、ジンの空き瓶を大量に抱えてたのを見て、正直びっくりした」と証言。

また「女が、あんな濃い酒を、あんなに何本もって…いや、驚きましたよ」と述べた。

筆者注:当該証言は、室内環境および事象発生直前の行動変調に関する参考情報として記録する。個人的感想および証言者の評価は省略し、行動面のみ記録する。

【追加資料④】:聞き取り調査実施期間中における筆者への影響記録(江草 慎二 記録)

■ 概要

本資料は、調査員・酒井湊に関連する聞き取り調査実施期間中、筆者(江草 慎二)に発生した一時的変調について記録するものである。当該現象は、資料班による整理作業時には確認されなかったが、聞き取り調査実施期間中に限定して出現しており、調査終了後は同様の事象は発生していない。本報告書では当該現象の因果関係、評価は実施しない。

■ 経緯

2023年12月8日〜12月10日、聞き取り調査実施期間中。調査班内聞き取り調査ルームにて、証言聴取終了後、帰宅・就寝中にのみ発生。

■ 発生事象

【第1事象】

発生日:2023年12月8日(聞き取り調査初日・夜間)

状況:聞き取り調査終了後、帰宅・就寝中。

事象:夢内において、男性と思しき存在(記録調査員・酒井湊が記録内で言及した夢の人物特徴と一致する容貌)より、ギルビーウォッカを差し出された。筆者は意図せず手を伸ばし、1口目を摂取。液体は市販流通品と同一の味・刺激を呈しており、過去に体験した飲酒時の感覚と完全に一致した。以降、夢内では身体的拒絶行動が不能となり、酩酊、嘔吐を繰り返しながら飲酒を継続。飲酒行為は起床アラーム音により覚醒するまで反復。

覚醒直後、夢内での酩酊感および身体的感覚は即座に消失。筆者は反射的にジスルフィラムを服用し、対応を行った。

夢内において、同存在より「お前はウォッカだと思った」との言語的接触あり。

【第2事象】

発生日:2023年12月9日(聞き取り調査2日目・夜間)

状況:聞き取り調査終了後、帰宅・就寝中。

事象:夢内において、筆者は既にギルビーウォッカを摂取した状態で開始。対話相手は、前夜夢内に出現した男性と同一の容貌・声質を有しており、記録調査員・酒井湊が記録内で言及した夢中人物の特徴とも引き続き一致を確認。会話内容は飲酒行為の継続理由、過去の飲酒歴、および飲酒停止に関する内容を中心とした。対話は断続的に継続し、同存在より「ならお前は飲むべきだ」「壊れろ」「俺は肯定する」「もっと飲め」との言語的接触が確認された。筆者は夢内において同存在と共に飲酒を継続。身体的拒絶行動は不能。飲酒、嘔吐、再飲酒を反復。起床アラーム音による覚醒まで継続。

覚醒直後、酩酊感および身体的感覚は即座に消失。ジスルフィラムを服用し、対応を行った。

【第3事象】

発生日:2023年12月10日(聞き取り調査3日目・夜間)

状況:聞き取り調査終了後、帰宅・就寝中。

事象:夢内において、筆者はギルビーウォッカを既に大量摂取した状態で開始。対話相手は、前夜までに出現した男性と同一の容貌・声質を有しており、記録調査員・酒井湊が記録内で言及した夢中人物の特徴とも一致を確認。酩酊状態下において、対話は継続されたが、会話内容は不明瞭。筆者は同存在と並び飲酒を継続し、反復的な嘔吐、再摂取を行った。同存在より「もっとだ」「まだ飲める」「お前はそういうものだ」との言語的接触あり。また、起床アラーム音が鳴る直前、同存在より「俺に会いにくれば、また飲ませてやる」との囁きが確認された。飲酒行為はアラーム音による覚醒まで継続。

覚醒直後、身体的感覚は即座に消失。ジスルフィラムを服用し、対応を行った。

■ 注記

当該事象は聞き取り調査終了翌日より発生していないため、調査期間中に限定されたものと判断する。影響記録として参考記載を行うが、筆者個人への影響評価、および精神的影響の分析は本報告書では実施しない。

以上をもって、本件に関する調査活動は終了とする。今後、新たな調査は一切実施しない。ただし、関連資料が発見された場合には、資料班の管理下において収集、整理、保管を行い、記録のみを継続する。それ以上の評価、分析、解釈は行わない。

【死蔵資料承認記録】
― 環境構成影響研究所 所内非公開第12項 準拠 ―

本件資料について、死蔵資料としての保管・封印処理を承認する。

記録者: 江草 慎二 (印)
確認者: 須賀 康弘 (印)

記録番号:環構影 第KEK-2023-1005号
封印区分:封印C
日付:令和5年12月24日

※本記録は通常記録台帳には記載されず、別保管扱いとする。


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